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ブログ「ITコスト削減と価格交渉の勘所」

開発コストの評価方法

ファンクション・ポイント数の計測は簡便な方法でOK

 ファンクション・ポイント数を簡易的に求めるためには、画面と帳票の数、データベースのテーブルの数が分かれば大丈夫です。  システムの基本設計が完全に終了していなくても、画面一覧、帳票一覧くらいなら、ベンダーさんから提供されていると思います。なければもちろん依頼すればよいでしょう。 またデータベースのテーブルについても、すべてが定義されていなくても、主要なテーブルはほぼ固まっているはずです。  これらの情報があれば、おおよそのファンクション・ポイント数を計測することが可能です。厳密性が足りないので大丈夫なのか?という疑問も出てくるかもしれませんが、大丈夫なのです。それはファンクション・ポイント法そのものの方法論が担保しています。  ファンクション・ポイント数を計測するには、細かいところを含めると20以上の情報が必要となります。しかし実際にファンクション・ポイント数の決定に寄与する情報というのは、2つか3つ程度です。つまりファンクション・ポイント法の定義上、1割程度の情報で数値のほぼ9割が決定されてしまうのです。 したがって、どんなに厳密に情報を収集し計算を行っても、必要最小限の情報を使って大雑把に計算した値と大して変わりません。 1円2円の誤差を争う状況ではありませんから、実務的にこれで十分なのです。  システムの規模や経費を評価する場合には、マクロ的な視点が重要となります。サイエンスにはミクロとマクロがありますが、こういった評価にはマクロ的な方法論や考え方を理解しておく必要があるのです。 システムのコストを分析する作業は、細かいことを追求しすぎて全体を見失いがちです。どのレベルの情報を捨てて、どのレベルの情報を取り入れれば、数学的に正しい結果を担保できるのか、このあたりの感覚が工学的素養ということになるでしょうか?  マクロ的視点の大切さは、経済学の泰斗であるケインズも主張しています。「正確に間違うよりも、漠然と正しくありたい」。システムのコスト評価はまさにマクロ経済と同じような視点です。大きなレベルで正しいことが何よりも重要です。

ファンクション・ポイントの計測はベンダーに依頼できるか?

 ファンクション・ポイント法は、システムの規模を特定するための、世界的なスタンダードといってよいでしょう。ですが、システムを発注するユーザー側としては、少々扱いづらい指標でもあります。  ファンクション・ポイントの計測に必要とされる情報はかなり細かく、システム設計の初期段階ではなかなか必要な情報が集まりにくいという問題があります。また、それほど難しくはありませんが、ファンクション・ポイント計測にあたっては以前にある程度の知識も習得しておく必要があります。  ファンクション・ポイント数の計測をベンダーさんに依頼するという手もありますが、弊社の経験から言うと、必ずしもうまく行くとは限りません。ベンダーさんの中には非常に知見や能力の高い方もいらっしゃるのですが、残念ながらそうでない方も結構います。 ファンクション・ポイント法の概念をきちんと理解できず、メチャメチャな計測をしていくるベンダーさんが多いのもの事実なのです。 しかも困ったことに、能力の低いSEさんほど、「ファンクション・ポイントなんか使い物になりませんよ」などと言うので、始末に負えません(このような発言は工学的な基本素養がない方に多く見受けられます)。  ですが、あきらめる必要はありません。実は利用者側でもおおよそのファンクション・ポイント数を計測することは十分可能です。 そもそもシステム開発前の予算策定や価格交渉なのですから、1円、2円の誤差も許されないという状況ではありません。おおよそのレベルで、ただし確実に計測ができれば十分なのです。

ファンクション・ポイント法の考え方

 前回は、システムは実は単純な機能の集合体で出来ているというお話をしました。単純な機能がそれぞれ何個あるのかを数えれば、システムの規模を数値化することができるのです。  これをもう少し体系的にまとめた方法が、ファンクション・ポイント法です。ファンクション・ポイント法ではシステムの機能を以下の5種類に分類しています。前回のコラムでの例とは少し違いますが、基本的な考え方はまったく同じです。 ①外部入力(EI)②外部照会(EQ)③外部出力(EO)④内部論理ファイル(ILF)⑤外部インタフェースファイル(EIF) ①外部入力(EI) 外部入力はシステムの外部から入力を指します。具体的には情報入力画面がこれに相当します。 ②外部照会(EQ)  外部照会は外部からのデータや制御情報の単純な参照のことです。データを検索して、該当するものをアイウエオ順に並べて表示するといった機能がこれに相当します。 ③外部出力(EO) 外部出力はシステム外部にデータを出力する機能のことです。参照(EQ)と異なり、データを加工して新たなデータを作って外部に出力することを指します。グラフの作成や平均値、標準偏差の計算と結果出力などがこれに相当します。 ④内部論理ファイル(ILF) 顧客マスタ、商品マスタ、注文ファイルなど,システム内部で使用されるまとまったデータの集合のことを指します。 ⑤外部インターフェース・ファイル(EIF)   各マスタなどのテーブルの中で、別なシステムで管理されている場合には、内部のテーブルとは別にカウントします。  これらが全体で何個ずつあるのかを数え、①から⑤の機能ごとに決められた重み付けを行って、すべてを足し合わせるとファンクション・ポイント数が求められます。

システムの規模は機能の数で決まる

 前回までは、システムのコストを評価するためには、システムの規模を数値で表すことが重要であると説明してきました。  それではシステム規模を数値で表すにはどうしたらよいのでしょうか?それを知るには、システムの規模が何で決まるのか考える必要があります。システムの規模を決める要因はズバリ、システムが持っている機能の数です。 システムというのは実は単純な機能の集合体で出来ています。システムには基本的に以下の4つの機能しかありません。  ①データの入力 ②データの出力 ③データの加工 ④データの蓄積  たとえば、在庫管理システムを例にとってみましょう。このシステムには在庫商品を入力する画面が必ずあると思います。この画面では在庫となる商品の名前や属性などが入力されます。これが①データの入力です。 また、このシステムには、在庫の一覧を帳票に印刷したり、在庫の平均滞留時間を計算したりする機能もあるかと思います。在庫一覧を帳票に印刷するのは②データの出力に相当しますし、平均時間を計算する機能は③データの加工となります。 さらにこれらのデータはデータベースの各テーブルに記録されていますが、この部分は④データの蓄積ということになります。  どんなに複雑で巨大なシステムであっても、基本的にはこれらの機能の組み合わせで出来ています。逆に考えれば、システムが持つ機能を分類して、その機能の数を数え上げれば、システムの規模が計算できるのです。 これはいかなるシステムにも適用でき、かつ客観性の極めて高い方法です。

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