前回は信頼性を向上させる最大の要素はハードウェアの冗長化であるというお話をしました。コストという観点では、冗長化のために増加したハードウェアの分しかコストは増えないことになります(厳密にいうと冗長化ソフトウェアの購入費が上乗せされます)。

 ではソフトウェア(アプリケーション)の部分は信頼性や可用性とは無関係なのでしょうか?そんなことはありません。
 信頼性や可用性の指標であるMTBF、稼働率はソフトウェアにも関係してきます。もっとも大きな要因はソフトウェアのバグです。バグがあるとシステム障害が発生し、MTBFや稼働率が低下します。ソフトウェアに存在するバグを除去するためには、テスト工程に時間をかける必要が出てきます。
 ソフトウェアに起因する障害をゼロにしたければ、数学的には無限大の時間をテスト工程にかけなければなりません。現実的にはそれは無理ですから、想定されるMTBFや稼働率に合わせて、ある水準で妥協するということになります。
 またソフトウェアの品質が低くても、運用の要員を増やし、事前に故障に対処するというやり方を取れば、ソフトウェアの品質に関係なく、MTBFや稼働率を向上させることが可能です。もちろんそのためには運用要員の追加コストが必要となります。

 整理すると、信頼性や可用性が高いシステムは高価であるというのは事実なのですが、結局のところ、それらを表す指標であるMTBFや稼働率の数字をいくらにするのかという問題に帰結することがわかります。

 MTBFの数値を限りなく無限大にしたければ、あるいは稼働率の数値を限りなく100%にしたければ、それこそ無限大のコストがかかります。逆にある程度の水準で妥協できるのであれば、かなり安く済むわけです。

 ベンダーは、想定される信頼性や可用性の数値を複数提示し、どの水準に設定するにはどのような措置を実施するのか?そのためにはどの程度、何にコストがかかるのかを明確にすべきです。発注側はそのような情報を求めていくべきでしょう。

 ここでは触れていませんでしたが、一般的に信頼性といわれている概念には、データの保全性というものもあります。これは障害があった時にデータが守られるかどうかという指標です。これは信頼性や可用性と密接に関係しますが、厳密には別の概念になります。保全性を向上させるためには、別な手法とコストがかかります。
 高い信頼性と可用性を求める企業の多くは、高い保全性も求めますが、あくまで別の概念であることを理解する必要があります。両者が混同された議論は避けるべきです。

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