ベンダーからシステム提案を聞いたり、見積書の提供を受けたりする際に、担当者から「このシステムは複雑なのでコストが高くなってしまう」という説明を受けることがあります。複雑なシステムは高価だという話に納得してしまいやすいのですが、ここには大きな落とし穴があります。

 そもそもソフトウェア工学の世界では「複雑な」なシステムというものは存在しないのです。本コラムでも何回か解説しましたが、情報システムというものはどんな種類のものであれ、入力、出力、加工、蓄積といったごく簡単な機能の積み重ねで出来ています。

 これは名簿を管理するシステムであっても、ロケットを制御するシステムであっても、金融機関の勘定系システムでも同じです。
 「複雑な」システムというのは、おそらく機能がたくさんあるシステムのことを指しているのだと思いますが、これはまさに規模が大きいシステムということになります。つまり、ソフトウェア工学の世界では、複雑なのではなく規模が大きいのです。

 もしベンダーからの説明の通り、機能の絶対数が多いシステムであれば、コストが高くなるのは避けられません。ですがイメージとして複雑であっても、機能の絶対数が少ないシステムの場合には、コストが増加することはありません。

 あいまいな表現を避け、機能の絶対数を数値で示すことができれば、このような誤解が生じることはありません。規模の数字による特定は非常に重要なのです。

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